みてみて松阪

グルメ

発見♡松阪の美味しい和菓子たち

◆松阪観光魅力発掘Web記事募集受賞作品(佳作)◆

伊勢湾に面し、西には広大な山間部が広がる自然豊かな町である松阪市。
中世には松阪木綿の生産が行われたことから、後に豪商の町として全国に名を轟かせるとともに、伊勢神宮を参拝するための街道が通ることで多くの人が訪れ栄えました。
そして、人々は参宮の道中、甘味を食して旅の疲れを癒やしていたのです。
その頃の名残か、松阪には美味しい和菓子が数多く存在しており、現代でも松阪の人々から愛されています。
今回は、松阪の人々が愛してやまないお菓子――和菓子について紹介します。

柳屋奉善の老伴●中町

一見、刻印された円形の最中の姿をしていますが、裏返してみるとつるりとした赤茶色の羊羹が敷き詰められた銘菓です。
外側の最中は口当たりが軽やかでサクッとしていますが、それに反して内側の羊羹はねっとりしています。
その羊羹を包むように糖蜜がコーティングされており、シャリっとした触感が羊羹の甘さをやさしく引き立てます。
調和の取れた甘みは控えめで、それでいて老伴を気品のある逸品に仕上げています。
その歴史は安土桃山時代にさかのぼるとされ、奥ゆかしい味わいから何百年も前の情景が目に浮かぶようです。


白子屋のみたらし団子●射和町

まっしろな団子の表面に、ほんのり焼き目をつけ、甘辛いしょうゆタレをたっぷりとからめた正統派のみたらし団子です。
シンプルでありながら、口に入れるとわかるこっくりとしたタレの味わいは、団子本来の甘さと柔らかさを際立たせます。
焼きたてほくほくの一本はまた格別です。
一本でも食べ応えがありますが、ついつい次から次へと手が伸びてしまいます。

福徳餅のさわ餅と福徳餅●湊町

伊勢・松阪地方の伝統菓子であるさわ餅。
名前の由来は、笹や、さお竹から転じたという説など諸説あるようです。
一般的に、四角く切ったのし餅で粒餡を包んだものをさわ餅といいます。
福徳餅のさわ餅は、お餅自体が分厚く弾力があり力強い印象ですが、餡と一緒に頬張るとやさしく素朴な、調和のとれた味わいとなります。
白とヨモギ、2種類の味を楽しむことができ、食べ比べてみるのもおすすめです。
そして、店名と同じ名前の看板商品である福徳餅。
こちらも、もっちりとしたお餅でこし餡を包んでおり、お餅は噛むともち米本来の甘みが口の中に広がります。
こし餡はほんのりと塩気がきいていて、お餅との相性もばっちりです。
見た目は何の変哲もないお餅ですが、松阪に訪れた際にはぜひ食べていただきたい逸品です。

どら焼き屋りんのどら焼き●藤之木町

しっとりふんわりした皮はしっかりきつね色の焼き目がついていて、それだけでも美しいですが、表面には鈴の刻印がなされていて可愛らしさ満載です。
中にはさまれている餡はみずみずしくやさしい甘さで、ふっくらと仕上がっている一方、皮と餡のバランスがよくキレのある甘さを保っているため、一口目から最後まで飽きることなく食べることができます。
また、どら焼きの皮と餡は単体でも販売されているため、自宅でオリジナルどら焼きを作ることができ、ホイップクリームや果物など、皮にはさむものを自分好みの具材にしてオリジナルどら焼きを作るのも、ホームパーティーなどで盛り上がりそうです。

山作のぜんざい●中町

明治時代から続くこちらのお店では、毎朝手作業で丁寧に小豆が仕込まれています。
さらりとしていて口当たりがよく、中に入っているもったりしたお餅とよく絡んで、いくら食べても飽きがきません。
柔らかく炊けているのに存在感のある小豆の触感も山作ならでは。
お餅単体でみると、表面に焦げ目をつけているため何とも香ばしく、もちもちしているのに歯切れがいいのが驚きです。
店内はテーブル席がいくつかあり、買い物の途中にあたたかいぜんざいを食べながら一息つくのにもぴったりです。

和菓子には欠かせない!松阪茶

三重県はお茶の産地としても有名で、静岡県、鹿児島県に次ぐ国内第3位のお茶どころです。
松阪市の飯南地域はお茶の栽培に適した地形や気候であり、県内でも有数のお茶の産地としても知られています。
松阪のお茶は主に、製茶の工程で通常の煎茶よりも長く蒸すことにより味にまろみを出しすっきりした味わいに仕上げた「深蒸し煎茶」と呼ばれる種類のものを扱っています。
深蒸し煎茶は茶葉が細かいため、通常だと茶葉に残ってしまう食物繊維やミネラルなどの栄養素もお茶として抽出されます。
栄養満点で程よい渋みの松阪茶は、和菓子の美味しさをさらに引き立ててくれることでしょう。

松阪市の名産といえば、松阪牛を思い浮かべる人が多くいると思います。
しかし、松阪について知るうちにその魅力は牛肉にとどまらず、
自然や史跡、食文化など実に多岐にわたっていることに気づかされます。
今回は松阪の和菓子店について特集しましたが、私たちの知らない松阪の魅力はまだまだあります。
ぜひ一度、松阪市に訪れて自分なりの魅力を発掘してみてはいかがでしょうか。


応募者 岐阜県各務原市 大山 明日香