みてみて松阪

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松坂なの?松阪じゃないの?インスタの中の人が松坂城跡について書いてみた。

松阪市観光情報officialインスタグラムアカウント「@visit_matsusaka」の中の人が松阪のランドマーク「松坂城跡」についてレポートするよ。

松阪ってどこにあるの?何があるの?


松阪市は三重県のちょうど真ん中くらいにあるよ。お伊勢参りに行くときにみんな通るところだけど、通り過ぎちゃう人も多いかもね。だから松阪牛は知ってるけど、松阪市を知らないっていう人はけっこういるんだよね。残念ながら。



けど昔はお伊勢参りの人たちが必ず立ち寄る人気スポットだったんだ。位置的に伊勢神宮に向かういろんな街道が交わる場所だったからね。宿場町として賑わってたんだよ。多いときには当時の日本の人口の6分の1、年間500万人もの人がお伊勢参りに押し寄せたんだって。今でいうと2,000万人以上、東京と大阪の人たちが押し寄せるイメージ、ハンパないね。3密どころじゃないね。


「え、じゃあ江戸時代の人も松阪牛を食べてたんだ?」って思うかもしれないけど、残念、食べてないんだ。日本人が牛を食べ始めたのはなんと明治時代。もともと日本では大事な労働力である牛は仏教の影響もあって奈良時代から食べることはタブーだったんだよ。

だけど時代が移って明治時代になると、富国強兵や外交の円滑化を背景に、明治政府がどんどん肉食を推奨したんだ。明治天皇が率先して肉食のタブーを破ることで国民に肉食を促したとか。ただ、当時の牛肉は硬くて臭みもあって、煮ても焼いても美味しくなかったんだって。


そこで使われたのが日本伝統の調味料「味噌」。味噌パワーで硬さと臭みを克服した「牛鍋」が文明開化の時代、一大ブームを巻き起こしたんだ。その後もいろんな食べ方が考えられる中で「すき焼き」が誕生。一方、お肉もどんどん改良が重ねられ、各地で有名な牛肉が誕生するんだけど、その究極形のひとつが「松阪牛」なんだ。


ちなみに「松阪牛」の読み方は「まつさかうし」「まつさかぎゅう」どっちでもOKだよ。

ちょっと話が逸れたけど、せっかくだから松阪牛には触れとかないとね、立場的に。本当は、江戸で大流行した松阪の特産品「松阪もめん」にも触れたいんだけど、それはまたの機会に。

松阪牛について知りたい人はコチラの記事がおススメ。牛飼い人生71年。松阪牛の神様と呼ばれる88歳のレジェンドを訪ねた。



「え、なんで松阪の特産品が江戸で流行るの?知りたいよー!」という方はコチラをどうぞ。「松阪もめん」とは



松坂なの?松阪じゃないの?


さて、そろそろ本題に入るよ。松阪には何があるの?そう、国指定史跡「松坂城跡」があるよ!日本100名城にも数えられているんだ。


あ、さっそく質問をいただきました。

「松坂なの?松阪じゃないの?」


もっともな質問だね。


実はね、築城当時は「松坂」だったんだ。話は築城当時までさかのぼるんだけど、松坂城を築城したのは「蒲生氏郷(がもううじさと)」という戦国武将。「未完の天下人」とも言われた名将で、茶人、文化人としても有名な人だよ。あぁ、氏郷さんの凄さも伝えたいんだけど、話が進まないからそれはまたの機会に・・・。

どうしても気になる人はコチラ。松阪の礎を築いた戦国武将「蒲生氏郷」



で、彼が自分の出身地(滋賀県日野町)にあった「若松の森」の「松」と、当時の上司「豊臣秀吉」の居城「大坂城」の「坂」をもらって「松坂城」って名付けて、地名も「松坂」になったんだって。けど、明治22年の市制町村制が施行されたとき、すでに「大坂」が「大阪」になってたこともあって「松阪」に変わったんだ。ちなみに「松阪」は「まつさか」と「まつざか」の2通りの読み方があったけど平成17年の市町村合併のときに「まつさか」に統一されてるよ。それまで2通りあったことに逆にビックリだね。

というわけで、お城としては「松坂城」、地名としては「松阪市」。そして、お城がないから「松坂城跡」なんだ。

そう、松坂城跡には「お城」がないんだ。もう壊れちゃってるんだよね。天守は1644年に大風(台風のことかな?)で、他の建物も失火やらなんやらで1881年頃には石垣だけになっちゃってます。

じゃあ松坂城跡では何を見るの?


ズバリ松坂城跡の見どころは「石垣」なんだ!全国屈指の壮大な石垣は石垣マニアも大興奮だよ。


石垣の大半は築城当時の「野面(のづら)積み」という積み方のまま残ってて、江戸時代の石垣修復時に積みなおされた石垣は「打ち込みハギ」「算木(さんぎ)積み」と呼ばれる工法が使われているんだ。築城当時の石垣は近江(今の滋賀県だね)から呼び寄せた石垣のスペシャリスト集団「穴太衆(あのうしゅう)」によるものなんだって。

とくに天守台の石垣は隅っこまで自然のままの石で積み上げられてて「ザ・野面積み」って感じがいいよね。まさに築城当時の姿、マニア垂涎の石垣だね。


「打ち込みハギ」はちょっと時代が進んで、積みやすいようにちょっとだけ石を加工してるんだ。けどまだまだ完全に隙間をなくすような加工はできないから、隙間は小さな石を埋めてるんだよ。


「算木積み」は石垣の隅っこに使われる技法で長方形の石を交互に積み上げるんだ。同じ算木積みでも石の加工具合で歴史を感じることができるよ。ぜひ見比べて欲しいな。


あとは「石」自体にも注目してほしいね。築城には大量の石が必要だったから松阪近郊の石という石が集められたんだって。中には古墳時代の石棺の蓋なんかも混じってて、今でも見ることができるよ。


さらにハート型の石もあるんだよ。カワイイお城を目指したわけじゃなくて「猪目(いのめ)」と言われる魔除けなんだって。どこにあるのか探してみてね。



そして、お城散策で気になるのはやっぱりその性能だよね、マニア的には。松坂城跡は石垣だけじゃなくその構造も必見だよ!当時の縄張り図(見取り図みたいなものね)を見ると、いかに堅牢なお城だったかがうかがえるんだ。北側を流れる阪内川を防御線とした守りに有利な場所に築城されているうえに、連続する桝形構造に立ちはだかる門(跡だけど)、門で足止めした敵襲を攻撃する櫓(跡だけど)、ハンパない防御力だね。実際に攻め込む気持ちで歩いてみると、何回やられたかわからなくなるくらい、天守に着く頃にはもうボロボロだよ。




初心者向け情報をお願いします。


ごめんなさい、ついついマニアックな話になっちゃいました。今更だけど非マニア向け情報も紹介するね。

松坂城跡は「松阪公園」として整備されてて、春にはソメイヨシノをはじめとした250本以上の桜が楽しめる桜の名所なんだ。夜にはライトアップもされて多くの人が訪れるんだよ。そして桜のあとは「藤」が見ごろ、二ノ丸にある大きな藤棚もシーズンになると多くの人が訪れるんだ。夏は緑の中で散策が楽しめるし、秋には紅葉も楽しめる。冬の雪景色(見れたらラッキー)も最高だね。そんな四季折々の姿を楽しめるのも、松坂城跡の魅力だね。



他にも松坂城跡には合計12基の石碑(文学碑や句碑)があるから探して歩くのも楽しいかもね。


そんな松坂城跡、実は今年(2021年)、国史跡指定10周年&日本100名城選定15周年のメモリアルイヤーなんだ。コロナ禍でなければもっともっとPRしたいところなんだけどね。けど、これを機にちゃっかりお城グッズの開発もすすめてるから気になる人はチェックしてみてね!


他にも松坂城跡やその周辺にはおすすめスポットがいっぱいあるんだけど、今回はここでおしまい。またの機会に紹介するね。


以上、インスタの中の人が書いてみたよ。

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松坂城跡周辺のおすすめスポット

御城番屋敷


松坂城を警護する「松坂御城番」という役職の武士20人とその家族が住んでいた組屋敷で、現存する江戸時代の武家屋敷でも最大規模。しかも現在も子孫の方たちが実際に生活されてるんだ。松阪を代表するフォトジェニックスポットで、最近では某人気映画のロケ地にも使われたでござるよ。



本居宣長記念館

歴史の授業でも習った国学者「本居宣長」さんの記念館。『古事記伝』などの自筆稿本や遺品、自画像などを公開していて、収蔵品総数はなんと16,000点だよ。記念館の隣には宣長さんの旧宅「鈴屋」や日本庭園などもあるよ。


本居宣長記念館


松阪市立歴史民俗資料館(2階 小津安二郎松阪記念館)

建物自体が国登録有形文化財になってる歴史民俗資料館。1階は松坂城跡や松阪木綿、松阪の歴史に関する展示があるよ。2階は2021年4月にオープンした「小津安二郎松阪記念館」。日本を代表する映画監督・小津安二郎さんは9歳から19歳までの青春時代を松阪で過ごしてたんだよ。