みてみて松阪

グルメ

肉・白飯・ビール・最高!!松阪市民の鶏焼き肉愛と味噌だれへのこだわり

「松阪なのに牛じゃなくて鶏なの??」


関東から三重県に移住してきた当初、そんな会話をした覚えがある。


「えっ松阪で鶏??バードの方ってこと?」


先日も桑名の人に驚かれた。チキンの方じゃない?という突っ込みは飲み込んだ。

高級和牛で有名な三重県松阪市だが、地元にソウルフードとして愛されているのは鶏。

松阪出身者に聞くと、高校の帰り道には鶏焼き肉へ通った人もいるなど、日常への浸透度がわかるエピソードが次々と飛び出す。

どうやら各家庭ごひいきの味噌だれがあり、店で食べる派もいれば、買って家で食べる派もいるという。ポイントはとにかく味噌だれ。

うーん、気になるその実態。

百聞は一見にしかず。大手を振って鶏焼き肉店へ!



こだわりは味噌だれ


1軒目にお邪魔したのは「若鶏焼肉とりいち」。


暖簾をくぐると、食欲をそそられる香りと熱気に包まれた。


これ、これ!この雰囲気だ!
昼間からビール片手に、肩肘を張らず、豪快に味わえる空気感を求めていたのだ。


潔いメニューの数。
全て1コイン以下というお値段にも驚き。


さて、何からいこう!

定番は若鶏とのことだが、噛めば噛むほど味が出て癖になるとファンが多いのは親鶏「ひね」。



味噌だれを絡めた鶏肉を七輪やコンロで焼き、更に味噌だれに絡めて食べるのが、松阪の鶏焼き肉スタイル。


松阪は昭和の時代から養鶏が盛んで、卵を産まなくなった鶏(廃鶏)を処分する際に、美味しく食べる方法として、味噌だれに絡めて網焼きにするという習慣があったそう。



【松阪鶏焼き肉の定義】
①味噌だれであること
あみ焼きであること
③鶏焼き肉を専門においていること
(メニューの最初が鶏肉であること)



じりじりと焼いた肉を、


味噌だれに潜らせたら、


左手で待ち構えていた白ご飯へ…


オン!!!そしてかきこむ!!



歯ごたえが程よい。これがうま味が凝縮した鶏本来の味なのか。

まろやかな味噌だれと絡み合い、奥深い味わいが広がる。食べ始めたらやみつきになる気持ち、よくわかる。


待って余韻!消えぬうちに、ビールGO!!



なんというか、これなんです!!忘れてた、この感覚が堪らない!

さぁ、もう1回!


程よく焦げ目が入った肉をたれに潜らせて、


オン!!


大口で頬張ったら、ビールGO!!!


弾力を楽しめるよう大きさも計算されているんだろうなぁ…と思わずにはいられないちょうどよさ。



こちらは首の筋肉の「クビ」。なんてダイレクトな名前なんだ。



骨から外すのが難しいため、あまり量の取れない希少なお肉だそう。身が引き締まっており、歯応えがある。



王道の人気メニューである唐揚げも、味噌だれに潜らせてしまおう。



ワンバウンド前にしたたらせ、


ON!ビールGO!


脳にガツンと響く香ばしい味噌だれが鶏肉とマッチして、ご飯もビールもとことん進む。

うーん、胸を熱々に焦がす鶏焼き肉のインパクトたるや。

この風情のなかで、カーッといくのがまた良い。


肉が焼ける音と笑い声が響く至福の空間


思い思いの焼肉タイムを楽しむお客さんたち。

お隣テーブルのご家族は、今週2回目の訪問とのこと。やはり決め手はこの味噌だれなのだそう。


鶏焼き肉を初めて食べるというお客さんもいた。TVで観てから念願の来店とのこと。
「味噌だれで味がしっかり付いているから美味しいです」


箸がどんどん進んでしまう鶏天国へようこそ。
取材中、3家族の団体客もみえていた。テーブルは親チームと子どもチームに分かれ、”いつもの感じ”で楽しむ光景を見て、小さい頃から鶏焼き肉に慣れ親しんでいるのが分かってきた。
また漁師の友人を連れてきたというお客さんからは、「タレがまずかったらけーへん!」という声も。


漁師町へ訪問する時は、袋に鶏肉と味噌だれを入れてお土産に持って行くと、とても喜ばれるのだと教えてくれた。因みに漁師さんの好物はスイカとのこと(肉でも魚でもないんかいっ)

「この雰囲気の中でワイワイ食べるのが一番うまい」というお客さん。
とはいえコロナ禍によるステイホームでは、BBQで楽しんでいたという。



「それでも決め手はタレ!」ごひいきの店で、味噌だれだけを買い求めるお客さんもいる。とにかく味噌だれへのこだわりは絶対のようだ。



もはや市民の本能に訴えかけていると言ってもよいのではないか
2軒目にお邪魔したのは「鶏あみ焼だるまや」。


鶏焼き肉を中心に、牛や豚の豊富なメニューが揃うお店だ。

鶏肉は、早朝に処理された「朝引き」を使用しているのが特徴。鮮度が良いため、親鶏と若鶏を食べ比べると、美味しさの違いが一層分かりやすいのだそう。


(手前)左側が若鶏、右側が親鶏。


味噌だれをしっかりと絡め、若鶏と親鶏を同時に焼いてみる。


もう焼けた??じりじりと待つ時間も楽しみのひとつ。


わかってる、絶対美味しいやつ。


肉汁が溢れる肉を味噌だれに潜らせて、


ON!!ハフハフしながらご飯と一緒にかき込む。


なるほど、ジューシーで甘みのある若鶏と、筋肉質な旨味が強い親鶏。違いを感じられて面白い。

個人的には、年齢と共にさっぱりしている鶏肉に好みが移行しつつある今日この頃だ。

とはいえ牛のホルモンも。


ぷりっぷりの脂が口の中で溶けるホルモンを、味噌だれで食べるのも定番。


あゝ焼肉ってなんでこんなにテンションが上がるのだろう。



鶏も牛も旨味を引き立たせる味噌だれ。またビールに合うんだわ…。


「以前からテイクアウト用に味噌だれを売ってほしいという声も頂いていて、近々販売することになりました」と店長の秋田さん。


お店で香ばしい煙に包まれながら、あみ焼きするのも最高だが、家でゆっくりとこの味を堪能する時間も至福のひととき。

因みに、家庭で鶏焼き肉を食べる時は、ある程度お肉に火が通ってから味噌だれを絡めて焼くと、焦げにくく美味しい状態でいただけるとのこと。

松阪の暮らしに潜り込む鶏焼き肉文化。

ひいきの店の秘伝の味噌だれは、もはや市民の本能に訴えかけていると言ってもよいほど根付いたソウルフードなのだ。

牛の焼肉とは一味違ったこの満足感、ぜひ味わってほしい。


photo / y_imura

【取材協力】

若鶏焼肉とりいち
hp https://web-toriichi.jp/

だるまや
hp http://www.mcity.co.jp/darumaya/

Do it!松阪鶏焼き肉隊
hp http://doitmatsusaka.net/blog/

【タイアップ・記事制作】
三重に暮らす・旅する
WEBマガジン OTONAMIE

肉・白飯・ビール・最高!!松阪市民の鶏焼き肉愛と味噌だれへのこだわり